しかし、よろこんでくれると思っていたホッピーに、ター トルじいさんは、「サメはきっと魚をあってきたのだろう。 こんなにたくさんの魚がいるのだから、サメが食べる文も十 分にあるだろう。たとえ魚がたりなかったとしても、追いは らうだけでいい。倒す必要はなかったんだよ。」 と、いいました。
パキじいさんも、わきでうなづいていました。
「こんなに急に魚がふえたからには、それなりのわけがあ あるはずだ。 大昔にも、太陽ののぼる方で、海の底が火を ふいたとき『イノセラの海』にすむ魚たちがたかさんにげて サンゴの海が魚でいっぱいになったことがある。」 ともいいました。
「そう。 そして、その魚の群れをおってイノセラの海に すんでいたサメやモササウルスがやってきたのだ。 今度も きっとそうだろう。」
パキじいさんがつけ加えました。
ホッピーが、まだ小さかったとき、なかまのクビナガリュ ウと一緒に楽しく遊んでいたときとつぜんモササウルスの「 サンゴン」におそわれたことがあるのです。
ホッピーは、友だちがにげおくるてモサゴンにつかまって いる間に、やっとの思いでにげのびたのです。
それ以来い、友だちに「すまない」という気持ちもあって モサゴンがにくくてならなかったのです。
ホッピーは、水面に顔を出し、太陽ののぼる方にあるイノ セラの海の方を見ました。
海はあいかわらずおだやかで、海どりのイクチオルニスが 数羽とんでいました。
遠くには噴煙が見えるほかにはかわったこともなく、モサ サウルスの姿も見えませんでした。