第2章


ホッピーは大よろこびでタートルじいさんのところに行き ました。 たくさんふえた魚のこと、それにもうひとつ 今 自分がたおしたサメのことを、得意そうに話しました。

しかし、よろこんでくれると思っていたホッピーに、ター トルじいさんは、「サメはきっと魚をあってきたのだろう。 こんなにたくさんの魚がいるのだから、サメが食べる文も十 分にあるだろう。たとえ魚がたりなかったとしても、追いは らうだけでいい。倒す必要はなかったんだよ。」 と、いいました。

パキじいさんも、わきでうなづいていました。


また、タートルじいさんは、

「こんなに急に魚がふえたからには、それなりのわけがあ あるはずだ。 大昔にも、太陽ののぼる方で、海の底が火を ふいたとき『イノセラの海』にすむ魚たちがたかさんにげて サンゴの海が魚でいっぱいになったことがある。」 ともいいました。

「そう。 そして、その魚の群れをおってイノセラの海に すんでいたサメやモササウルスがやってきたのだ。 今度も きっとそうだろう。」

パキじいさんがつけ加えました。


「モササウルス」・・・・そう聞いたとたんホッピーの目 がひかりました。

ホッピーが、まだ小さかったとき、なかまのクビナガリュ ウと一緒に楽しく遊んでいたときとつぜんモササウルスの「 サンゴン」におそわれたことがあるのです。

ホッピーは、友だちがにげおくるてモサゴンにつかまって いる間に、やっとの思いでにげのびたのです。

それ以来い、友だちに「すまない」という気持ちもあって モサゴンがにくくてならなかったのです。


「モサゴンは、またくるだろうか。」

ホッピーは、水面に顔を出し、太陽ののぼる方にあるイノ セラの海の方を見ました。

海はあいかわらずおだやかで、海どりのイクチオルニスが 数羽とんでいました。

遠くには噴煙が見えるほかにはかわったこともなく、モサ サウルスの姿も見えませんでした。


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